榊貴美展 ～スモールワールド～ について

この度、GALLERY TERRA TOKYO様にご協力をいただき、榊貴美の展覧会を開催することとなりました。
1983年に和歌山で生まれた榊貴美は、東京造形大学在学中から多くの話題作を発表。その独特の世界観が多方面から高評を博し、今や世界を舞台にも活躍する若手アーティストのひとりです。

私見ながらその作品の第一印象は、「やわらかなタッチを通したアイロニーな視線の絵」でした。多くは子供をモティーフにしており、彼らは一様に大人社会を冷徹に見つめる不気味な「視線」を持っています。
それは決して現実の子供ではなく、榊自身が子供という媒体に入り込み、社会の歪みや不条理さ、悲しいほどどうしようもない人間の習性を垣間見たときの「眼」なのではないかと思います。

「“誰か”に向け作品をつくり、それは“誰か”の感覚の中で成立するものでありたい。わたしの作品は答えではなく、わたしからの問いかけなのです」。ぜひご来場いただき、その問いかけに答えを出していただけたら幸いです。

REIJINSHA GALLERY
野口和男